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続・経営者のための経営常識問題の解説

先週木曜日号のつづき。

4.労働生産性を上げるうえで、効果的でないものは次のどれか。
ア.IT投資に力を入れる イ.事業承継で社長が若返る
ウ.外国人を雇用する  エ.海外に販路や生産拠点をつくる
《正解は「ウ.外国人を雇用する」》

この問題は少々難易度が高かったと思う。どれも正解に思えるし、
れも不正解にみえる。
まず「労働生産性」とは、従業員一人当たりの付加価値高(限界利益、
粗利益)のこと。従って付加価値を高めることと、従業員数を減ら
施策が鍵をにぎる。単純に外国人を雇用するだけでは、そのいずれ
期待できないことから「ウ」が不正解となる。
それ以外の選択肢が生産性の向上につながることは経産省のPDFでご紹
介したことがあり、ここではその解説は割愛する。

5.働き方改革に関連して、今年から義務化され、違反すると罰金
課されることになったのはどれ。
ア.高齢者の再雇用義務 イ.社会保険の加入義務
ウ.障がい者の雇用義務 エ.有給休暇の取得義務
《正解は「エ.有給休暇の取得義務」》

年次有給休暇を10日以上取得する従業員に対し、最低5日間の有給を取
得させないと、罰金が課されるようになった。社員ひとりあたり、
大で30万円の罰金となる。従来に増して、計画的に取得させる必要が
ある。

6.新1万円札の肖像画に決まった渋沢栄一は今の埼玉県深谷市出
だが、福沢諭吉はどこの藩士の息子か。
ア.旗本(江戸)    イ.仙台藩(宮城)
ウ.岐阜藩(岐阜)   エ.中津藩(大分)
《正解は「エ.中津藩(大分)」》

福沢自身は摂津国大坂堂島浜に生まれ。豊前国中津藩(今の大分県
津市)の下級藩士・福澤百助と妻・於順の次男(末子)として生ま
ている。

7.企業が保有する現預金は平均月商の何ヶ月分あれば平均的とさ
るか?
ア.1ヶ月分 イ.3ヶ月分 ウ.6ヶ月分 エ.12ヶ月分
《正解は「イ.3ヶ月分」》

これについては諸説ある。1ヶ月分でいい、1.5ヶ月で充分、とする説
もあるが、「3ヶ月」と覚えておいて間違いはない。
たくさんの決算書を拝見してきたが、私が知るかぎり最高の会社は
東の建設関連企業で、37ヶ月分の月商(3年強の年商)の現預金をもち、
完全無借金だった。潤沢すぎる自己資金の活用法に困っておられた
けだ。まずは、6~12ヶ月分をめざしたい。

8.企業が抱える有利子負債(借金)は、平均月商の何ヶ月までが
容範囲といわれるか?
ア.3ヶ月分 イ.6ヶ月分 ウ.9ヶ月分 エ.12ヶ月分
《正解は「ア.3ヶ月分」》

これには諸説はない。6ヶ月はすでに危険水域である。

9.次のドラッカーの言葉に当てはまる語句はどれか
『トップ本来の仕事は○○とは違う××をつくることである』
ア.他社とは違う自社 イ.平均とは違う基準
ウ.今日とは違う明日 エ.現実とは違う理想
《正解は「ウ.今日とは違う明日」》

今日とは違う明日のわが社をどのように思い描くか。当然、高い志
豊かな構想力が必要になる。経営計画書づくりを通して思う存分、
日のわが社像を描いていただきたい。

10.2017年現在の日本企業の社員一人あたり年間教育費用は
次のうちどれか?
ア.約16万円 イ.約8万円 ウ.約4万円 エ.約2万円
《正解は「ウ.約4万円」》

4万円という現状の教育費はいかにも少なすぎる。少なくとも10万円は
見込んでいただきたい。
ボイラの三浦工業(松山市)など一部の会社では、社員ひとりあた
100万円の投資をしている会社もあり、人への投資が大きな見返りを生
むことを証明している。

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